当事務所の所属弁護士8名によるコラム(ブログ)です。

震災と不況

3月11日に起きました地震、津波により、想像を絶する甚大な人的、物的被害が発生しました。
被災された皆様には心からお見舞い申し上げます。

振り返ってみると、およそ100年程前の我が国でも、いわゆる「大戦バブル」とでもいうべき、第1次大戦時の好景気の反動で、大戦後、いわゆる「戦後恐慌」が起こり、1923年の「関東大震災」が、それに追い打ちをかけた、という事実がありました。
この「震災恐慌」は、いわゆる震災手形の処理の問題などもあって長期化し、その最中に、1929年ニューヨークでの株価暴落(ブラックマンデー)に端を発する「世界恐慌」(昨今のリーマンショック、世界同時不況が想起されます。)がさらにダメ押しするような形で、「昭和恐慌」の時代に突入しました。

おりから、「東北地方」を中心に、深刻な凶作・飢饉に見舞われ、一方で、不況をよそに「ドル買い」などに走り膨張を続ける「財閥(=大企業)」及びそれを後ろ盾とする政党政治家(三井、三菱の「番頭」と称された)に対する、非難と不信が高まる中で、かかる社会不安と社会構造の矛盾に便乗するような形で、軍部が台頭し、対外侵略の軍国主義、そのための統制経済と大政翼賛の時代へと、日本は、「坂の上の雲」ならぬ「坂の下の奈落」への道を、まっしぐらに転落していった歴史がありました。
私たちは、現在の情勢にある面で相似する、これら過去の歴史をも知っておく必要があると思います。

さて、今回の震災の影響で「原子力発電所」が稼働停止したことにより、現在、「計画停電」などが実施されています。
これらのことは、私たちの住むこの社会は、もはや、社会全体がダウンサイジングしていかざるを得ない、そうしないとこの社会は立ちいかないことを、如実に示した出来事だと感じました。
これからは、「自分だけはあくまでも経済的自由を享受したい」ということはもはや許されない、そういう時代となったのではないか。
少なくとも、K泉やらT中などが「改革」と称して市民に押し付けてきた(その背景には大企業(=財閥)の利益擁護があることは言うまでもない)、野放図な規制緩和主義、新自由主義が、完全に破たんしたことを意味することは明らかです。
(そういった意味では、財界団体の法人税減税先延し容認は当然でしょう。)

やみくもな対外膨張軍国主義と統制経済・政党政治の否定に走った過去の歴史を教訓としつつも、基本的人権(特に社会的弱者の人権)、自由と民主主義、憲法の根幹を損なわない形での、〔社会民主的な〕方向性が改めて模索されなければならない、そういう時期に来ているのではないかと思えます。