浦和法律事務所ブログ

当事務所の所属弁護士8名によるコラム(ブログ)です。

死亡保険金の受領と相続

生命保険のうち “死亡保険金” は
被保険者の死亡により発生するものであることから
  「遺産」の一部として、遺産分割等の対象になるのか
などなど、いろいろな側面で、問題となります。

この点、結論からいえば
 死亡保険金の請求権は、相続によって相続人に与えられるものではなく
 保険契約にもとづき直接、保険金受取人である相続人が取得する「固有権」であり
 「遺産」には含まれない
と解するのが一般的です。

最高裁判所の判例でも同様に、
・養老保険の死亡保険金の受取人が(被保険者の)「相続人」と指定されていた場合

・生命保険ではなくて傷害保険のケースですが、保険金受取人の指定がない場合
において
 被保険者の死亡により支払われる保険金は、「遺産」には含まれないもの
とされています。


では、「遺産」そのものには該当しないとしても
 亡くなった人が掛けていた保険契約にもとづいて
 保険金受取人に支払われる保険金は
 いわば故人からの「贈与」に類似するものとして
 「特別受益」に該当する
と考えることはできないでしょうか。

これについても、最高裁判所の判例は
 「特段の事情」がない限り、原則として、特別受益とはならない
としています。
(もっとも、特段の事情がある場合は特別受益に該当する可能性があるとしていますので、
全く否定されているわけではありません。)


このように
 死亡保険金は「遺産」にも「特別受益」にも該当しない
とされるのが一般的であり、判例も同様なのですが、
それでは、
故人が生前に、多額の保険金の受取人として特定の相続人を指定し
ほかには何ら、めぼしい財産を残さずに亡くなった場合
残された他の相続人は、
多額の保険金の受取人となった特定の相続人に対し
「遺留分」を主張できるでしょうか。

この点についても
 保険金請求権が遺産にも特別受益にも該当しない
という一般論からすれば、
やはり「特段の事情」のない限りは、否定されることになるのではないか、
とおもわれます。

ブラジルW杯

いよいよ6月12日からブラジルW杯が始まります。

小さいころサッカー少年だった私の、今の一番の趣味はサッカー観戦であり、
4年に1度の世界最大のスポーツの祭典が間近に迫った今は、
小さいころの遠足前夜に似ています。


日本代表の歴史を見ると、
ドーハの悲劇、W杯初出場の感動、
自国開催の期待と不安、ドイツでの失望、
南アフリカで抱いた将来への期待など、
思い出してみれば常に高揚感を抱きながらテレビに釘付けになっていました。

また、世界最高の選手達が自国のプライドをかけて見せる最高のプレーや、
懸命にボールを追っている姿は、感動すら覚えます。


そのほか、W杯では、開催地の気候、地形、文化等といった特色が、
試合やそれを取り巻く環境に顕れてきます。

前回の南アフリカW杯では、スタジアムが高地にあったため、
事前に体を順応させなければならなかったり、
ボールが飛びやすいといった特徴に対処する必要がありました。
また、スタジアムでは、「ブブゼラ」という民族楽器を用いた応援がされており、
その音の凄まじさは、ベンチにいる監督からの指示や、
選手間のコミュニケーションに支障が出るほどだったため、
この異質な空間にどのように対処するのかというのも1つの課題となりました。

ブラジルではどんな特色があるのか、それも楽しみの1つです。



W杯のことを考えていると、余計楽しみになってきます。
頑張れ、日本!!

お酒の規制

嗜好品であるタバコとお酒。
世間ではお酒よりも、タバコに対する風当たりの方が強いように思われ、
実際に、各地方自治体ではタバコの吸い方(路上喫煙、歩きたばこなど)に対する規制が
2002年ころから実施されているところです。


さて、刑事弁護を担当していると、飲酒が関連する犯罪はかなり多いです。
飲酒運転に限らず、飲酒ゆえの暴力、窃盗など。
そのためか、タバコの弊害よりも飲酒の弊害の方が身近に感じます。
(もちろん、私が元喫煙者という事情もあるかもしれませんが。)
飲酒に絡む事件に触れるたびに、
飲み方の規制ができないものか」
となんとなく考えていたところです。


そんな中、昨年末にアルコール健康障害対策基本法が成立し、
本年6月1日から施行となりました。
立法の趣旨は、主にアルコールによる健康障害の防止等にあり、
「アルコール健康障害」は、
「アルコール依存症その他の多量の飲酒、未成年者の飲酒、妊婦の飲酒等の不適切な飲酒の影響による心身の健康障害をいう。」
と定義づけられています(同法2条)。
「不適切な飲酒」という言葉が使われており、
「飲んだら乗るな」の事後的な話ではなく、
飲み方」について言及された法律ということになるかと思います。


この法律の4条から9条までは、
 「(4条)国の責務」
 「(5条)地方公共団体の責務」
 「(6条)事業者の責務」
 「(7条)国民の責務」
 「(8条)医師等の責務」
 「(9条)健康増進事業者の責務」
と定められており、
 みんなで飲酒の問題を考えましょう
という考えが明確に感じられるつくりになっています。

「飲み方」についての規制方法には限界があるだろうことは容易に想定できますし、
今後、どこまで実効性ある法律、計画になっていくのかはわかりませんが、
とりあえず、上述のとおり、みんなで考えましょうという意図を感じましたので、
みなさんにお知らせさせていただこうと思い、今回のブログテーマとしました。