恩師との再会
先日、私が学生時代にゼミでお世話になった、刑法・刑事訴訟法の前田雅英教授による定年退職前の最終特別講義
「実質的犯罪論の実質」
を聴講してきました。
大学で刑法を勉強されたことがある方なら、
一度は前田先生の名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
大学に入学し、初めて法律学に触れたころ、
その用語の難解さや理論の複雑さに嫌気がさし、失望していました。
そんなとき、前田先生の講義を聴き、つかえていたものがすっと落ちていくような、
そして、心躍るような感覚を味わったことを今でも覚えています。
もっとも、その後改めて考えてみると、やはり分からないことだらけということもよくありましたが、
分からないことで、返って勉強に対する意欲がかき立てられました。
大学3年になり、前田先生のゼミに入ることが叶ってからは、
週に1回のゼミの時間が私の楽しみの1つとなりました。
私は前田先生の説にすべて賛成ではありませんでしたが、
だからこそ、より一層刺激的でもありました。
もし、あの時前田先生にお会いしていなければ、
私がこの道に進むこともなかったかもしれません。
約13年ぶりに、壇上に立って講義をする前田先生を拝見し、
そのお姿は、やはり相当の月日が経ったことを感じずに入られませんでした。
しかし、分かりやすい事例を挙げ、これに適格に解説を加えることで生じる説得力も、
息抜きとしてしばしば織り交ぜる雑談のタイミングも、
あのころのままでした(若干、雑談の回数は増えていたかもしれません)。
幸い、前田先生は今後も第一線で活動されるとのことでしたので、
これからも学生への指導を初め、ますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
素晴らしい方の話を聞き、また、その本を読むことは
私にとって何よりも得難い経験となっています。
前田先生や憲法の芦部信喜先生の本などは、
初学者の方にもとても分かり易く書いてありますので、
法律の勉強をしたことがない方も、ご一読されてみてはいかがでしょうか。