当事務所の所属弁護士8名によるコラム(ブログ)です。

較差

最近の専らのニュースは衆議院議員総選挙。

続々と新党が立ち上がったけれど、各党の政策の違いが分かりづらい。
我々有権者はどこに投票したらいいのやら。。。
とはいえ、国民の生活を左右する重要な選挙であることは間違いない。
しっかりと考えて投票しなくては。

ところで、自分が投じた一票は、選挙の結果にどれだけ影響を与えるのか。
有権者が投じる一票の価値は平等なのか。


現行の選挙制度において、
各選挙区間の議員一人当たりの有権者数の比率は、地域によって較差がある。
すなわち
有権者人口が少ない選挙区においては
一人一人が投じる一票の価値が高く
反対に有権者人口が多い選挙区においては
一人一人が投じる一票の価値が低くなってしまう。
これは法の下の平等を保障した憲法14条1項に反するとして
これまでに何度も訴訟が提起されている。

この点について、これまでの最高裁判所の基本的な考え方は、
①較差が選挙権の平等に反し違憲状態であるか
②違憲状態であるとしても、その較差を是正するために必要とされる
合理的期間を経過したか(合理的期間の法理)
③合理的期間内に是正されていなければ違憲
しかし、既に終わってしまった選挙を無効とするのは
公の利益に著しい障害が生じるので選挙自体は有効(事情判決の法理)
としている。
そして衆議院選挙において違憲状態にあるとの判断は
これまでは較差が3倍を超えた場合になされていた。
しかし、前回2009年の衆議院議員総選挙における2.3倍の較差について
最高裁判所は、「憲法の投票価値の平等に反する状態に至っていた」として
違憲状態であるとの判断をした。

各選挙区内の有権者人口は常に変動し、投票率も異なる。
完全に一票の較差がない選挙は難しい。
しかし、較差を無視した選挙では、民意が正確に反映されない。

今度の選挙において、一票の較差はどれだけ生じてしまうのだろう。