当事務所の所属弁護士8名によるコラム(ブログ)です。

高年齢者雇用安定法

前回までは、労働問題の事例検討をしていましたが、一休みします。
とはいえ、労働関係の話をします。


さて、昨今の高齢化社会に対応するために
高年齢者雇用安定法という法律が改正され
来年(2013年)の4月から施行されます。

内容を簡単に言ってしまえば
定年の引上げや継続雇用制度(再雇用等)により、
希望者全員の65歳までの雇用確保措置を講じることを義務づける
ものになります(高年法9条)。
年金支給開始年齢の引き上げにともない
60歳で定年退職した労働者が無収入になる5年間に対処しよう
というのがこの法律改正の趣旨です。

ポイントとしては
「雇用確保を義務付ける」
ではなく
「雇用確保措置を講じることを義務づける」
となっているところでしょうか。


この点に関連して、
60歳定年で再雇用もされなかった労働者が
「高年齢者雇用安定法9条があるんだから退職する理由はなく、
65歳まで労働契約は続いている。」
と主張することは可能かという問題が存在します。

法律改正の趣旨からすれば、
65歳までの雇用確保こそが保障されなければならない
と言えそうです。

ところが、裁判所においては、
高年法9条を根拠に、60歳以降の労働契約関係が継続する
とは考えていないようです。
(NTTの裁判例。
上告されているようであり、今後の最高裁の判断が待たれるところ。)
これでは、法律改正が画餅に帰すと言われてもやむを得ないかも知れません。
これからの課題でしょう。

とはいえ、報道によれば、
法律の改正により、定年を引き上げる又は再雇用制度を設けるなどして、
高年齢者の雇用確保に動いている企業もあるようです。
大和ハウスやサントリーなどが定年を65歳まで引き上げているようです。
これも法律改正の効果と一応は評価できそうですね。

他方で、若者の雇用機会を奪うのではないかと危惧する論調の報道もあります。
高年齢者と若者で一つの椅子を奪い合うということです。
確かに、高年齢者を継続雇用するために、
人件費の関係から新規採用に躊躇が出てしまう
ということは有り得るかもしれません。
だとすれば、若年層の新規雇用に対する手当も必要になるでしょう。

まだまだ課題は多いですね。

※高年齢者雇用安定法の詳細については
厚生労働省のホームページで確認できます。


さて、最後はいつもどおり、我が家の姫の成長日記を。

先日、保育園のお遊戯会があったので、行ってきました。
「だるまさんの」という人気絵本を利用したもので、
先生が「だるまさんの~・・・手!」と言うと
それにあわせて園児達が、自分の手を出し「て!」と叫んでいて
そのかわいさにかなり癒されました。

その夜は、撮影したビデオを10回以上繰り返し見ながら
ニヤニヤしっぱなしの1日でした。

終わり。