当事務所の所属弁護士8名によるコラム(ブログ)です。

「食品表示」-食に対する消費者の権利

「あなたのからだはあなたが食べた物でできている。」
だったかしら…。
このコマーシャル、結構気に入っています。
食の重要性を一言で言い当てていると思います。
それだけでなく、美味しい物を食べると心も豊かになりますよね。

食いしん坊の私は、食に対しかなり関心が高い方だと思いますが
食品表示というのは本当に解りにくい。
それもそのはずです。
目的の異なったいくつもの法律
  • 食品衛生法
  • JAS法
  • 健康増進法
  • 薬事法
  • 不当景品類及び不当表示防止法
  • 計量法
等が、バラバラに表示基準を定めており、
しかも、やたらと例外が多いからです。




2009年10月、消費者庁が発足し、
食品表示の運用は消費者庁に一元化されました。
それにともない、食品表示についても一元化する 
  新食品表示法(仮称)
の制定作業が進められています。
消費者が食品の内容を正しく理解できるよう
  • 表示のルールを解りやすくすること
  • 食品表示の偽装や虚偽表示を防止し、表示違反に対する規制を強化すること
が求められます。


しかし、議論の中で
「食品表示が解りにくいのは、
限られた表示スペースにたくさんの表示がされているからだ。」
との誤った理解から、
義務表示事項を削減し、表示を簡素化しようとの動きがあります。

現在“義務表示事項”とされているものは、どれも必要不可欠な表示です。
このような、規制を緩めようとする動きには警戒しなければなりません。


食品偽装事件が後を絶たないのは
  食品表示が消費者の権利を確保するために不可欠の制度である
との認識が、食品に関わる事業者に希薄であるからだと思われます。

したがって、新法には
食品に関する消費者の権利
  1. 食品に対し安全を求める権利
  2. 食品の品質を知る権利
  3. 食品を自由に選択する権利
  4. 食品による健康増進の権利
を明記し、
食品に関わる事業者に対して、
食品に携わることの責任の重さを自覚してもらう必要があります。

それと共に、私たち消費者も、
事業者や行政任せではなく、
積極的に自分たちで消費者の権利を守るため、
何をなすべきか、何ができるのかを考え、行動していきたいものです。