当事務所の所属弁護士8名によるコラム(ブログ)です。

自転車

「自転車は降りて渡って下さい」

スクランブル交差点の歩行者信号が青になる度に
このアナウンスが流れている。
きちんと自転車から降りて自転車を引いて横断する人もいるが
アナウンスを無視して自転車に乗ったまま横断する人もいる。

このスクランブル交差点は、以前は
通行量の多い時間帯に監視のおじさんがいて
歩行者信号が青になる度に
 「自転車は降りてくださーい」
と大きな声で呼びかけをしていた。
それでも自転車に乗ったまま横断する人を見つけると
 「そこの○○の人ー!」
と特定してまで注意をしていた。

アナウンスではおじさんほどの効果はないようだ。




この他にも自転車のマナー違反はよく見かける。
大きな交差点で信号無視をしたり、狭い歩道を猛スピードで走ったり。。
一歩間違えれば事故につながる。
自動車との接触では、自転車に乗っている人が怪我をしてしまう危険が大きい。
自転車に乗る人もこの危険はよく感じるであろう。
しかし、自転車が歩行者に怪我をさせてしまう危険はどうか。

自転車と歩行者の事故は
平成13年から平成23年までの10年間の間で
約1.5倍にも増加している(警察庁資料)。

私も、自転車と歩行者の事故についての法律相談などを受けることもある。
自転車は自動車に比べて保険制度が不十分であることから
事故が起きてしまった場合
自転車側が多大な賠償責任を負うことになったり
歩行者側が泣き寝入りをしたりすることがある。

このような現状のもと、先月26日
自転車マナーの向上などに取り組んできた財団法人日本自動車普及協会が
 自転車ADRセンター
を設立した。

ここでは
  1. 自転車と歩行者との間の事故
  2. 自転車と自転車との間の事故
  3. 自転車による器物の損壊
を対象として、裁判外の法的紛争解決を試みる。
弁護士や自転車関連団体の者を含む調停委員3名が
中立的な立場で当事者双方の話を聞き
和解による解決を目指すのである。

自転車事故に特化したADRはほかにはないようで
これからの成果が期待される。


とはいえ、事故を起こさないことが何より大事である。
自転車マナーの向上を図られるべきであるが、その前提として
自転車の交通ルールの確立と周知を徹底することが必要である。

自転車は「車両(軽車両)」(道路交通法第2条1項8号、11号)。

車両は原則として車道を走り、歩道は歩行者が優先なはずであるが
自転車の走行が許される歩道もあり
多くの自転車は歩道を走行していることなどから
自転車は歩道を走るものだと多くの人は思い込んでいるのでは。。

さらに、車道は高速で自動車が走行しており
路上駐車などの障害物のあり
自動車ほどのスピードが出ない自転車で走行するのは怖い。

今でもたまに見かけるが
自転車専用の自転車道をもっと設けるのが理想だと思うけれど。。


それと、自転車の交通ルールを子どもに対して教えることが必要だと思う。
歩道を自転車で暴走するちびっ子はよく見かける。
私も、歩道を歩いていたら
自転車のちびっ子暴走族にひかれそうになったことがある。

私がいた小学校では、3年生と4年生の時に
警察官か交通安全協会の方(記憶が定かではない)立会いのもと
小学校の校庭で、自転車検定が行われた。
この自転車検定に合格しないと、一般道で自転車に乗ることはできない。
自転車免許証なるものも交付され
自転車に乗るときは免許証の携帯が義務付けられていたから
当時の私は、自動車と同様に
自転車にも免許制度があるのだと思い込んでいた。


自転車の免許制度とまではいかなくとも
自転車に乗り出す小学校の教育課程において
自転車の交通ルールを周知することは必要なのではないか。