当事務所の所属弁護士8名によるコラム(ブログ)です。

地方公務員の人権

今年の7月から
さいたま市の地方公務員の給与が
4.77%~9.77%削減されることになりました。
期間(予定)は来年の3月までです。

対象は医師や教職員なども含めたさいたま市の職員全員で
その数は約9800人に上ります。

この地方公務員給与削減の波は
さいたま市のみならず、他の市町村や都道府県にも及んでいるようです。


削減の理由は
国が東日本大震災の復興財源を捻出するため、
国家公務員の給与を削減していることから、
地方公務員にも同様の措置を要請したため
です。
そして国は、すでに減額分の地方交付税を削減することを決めていました。
つまり、国が地方公務員の給与削減を強要しているのです。

しかし
東日本大震災の復興財源を捻出する必要性と
地方公務員の給与削減に
どのような繋がりがあるのでしょうか。
日々、現場で懸命に働く地方公務員に、本来何の責任もありません。

言うまでもなく、地方公務員も
日本国民であり、
労働者
(他人に使用され、労務を提供し、その対価として賃金の支払を受ける者)
です。
当然地方公務員のほとんどはその給与で日々の生活を送っています。
養うべき家族がいる方も山ほどいるでしょう。

その大切な給与を、ほとんど問答無用、一刀両断で切り捨てているのです。
しかも、地方公務員の給与削減は、ここ数年だけを見ても、
今回の1回だけに止まっていないのです。

この国は地方公務員という国民の生活、
ひいては人権を考える思考回路が切れてしまっているのではないか
と疑いたくなります。

この一面だけを見ても
日本は非常に危険な道を、大した自覚なく進んでいるように思えてなりません。