当事務所の所属弁護士8名によるコラム(ブログ)です。

モラハラ

某有名人の年の差夫婦の離婚が裁判になった! とのニュースを見ました。
その中で「モラハラ」という言葉が出てきました。

「モラハラ=モラル・ハラスメント」とは言葉や態度による精神的嫌がらせです。
相手を無視したり、怒鳴ったり、大きな物音をわざと立てたり、
繰り返し相手を非難したりするなどして、
相手が自分の思い通りになるように支配していくのです。
殴る・蹴るなどの証拠が残る暴力とは異なり、
外からは分かりづらく、理解されにくいものですが、
言葉や態度で相手を精神的に虐待する一種のDVです。
モラハラをしている側はDVをしているなどとは全く思っていないのが大半です。
モラハラをされている側も辛い思いをしているのだけれど、
DVを受けているとまでは考えていないことが多いです。

離婚の相談でモラハラと思われる事案は結構あります。
もちろん人の発言や態度の受け止め方は様々なので、
相手の発言や態度によって嫌な思いをしたらモラハラであり直ちに離婚の原因になる
なんてことはありません。
夫婦として一緒に生活していれば、喧嘩もするだろうし、
相手に対して腹が立って無視をしたり、相手のミスを注意したりすることもあるでしょう。
しかし、相手のことは全く考えないで、自分の気持ちだけでこのようなことを繰り返したら、
それはモラハラであり、婚姻関係を続けていくことは難しくなると思います。

このように、モラハラは目には見えない相手に対する気持ちも大きく影響してくるので、
モラハラが夫婦の間であったのか、それが離婚の原因になるほどのものなのか、
明らかにすることは非常に難しいと思います。
しかし、これを裁判で認めてもらうためには、主張を裏付ける証拠が必要です。

某有名人夫婦の離婚騒動の詳細は知りませんが、
ニュースによると、妻である原告からモラハラに関する書籍が証拠として提出されたようです。
しかし、これはこの夫婦の間でモラハラがあったという証拠にはなりません。
これからどのような証拠が出てくるのか、
裁判の中でモラハラについてどのように認定・評価されるのか、
少しだけ注目しています。