当事務所の所属弁護士8名によるコラム(ブログ)です。

「特定秘密保護法」は廃止にするしかない(3)

国会に設置された「情報監視審査会」は、
特定秘密の指定が正当に行われるための監視機能を果たすことができるのだろうか。

「情報監視審査会」は、
衆議院が与党6名、野党2名、参議院が与党5名、野党3名の議員で構成されている。
議事は出席議員の過半数で決定されるため、
そもそも、政府に不利になるような決定をすることができるかは極めて疑問である。
会合も議事録も非公開であるため、
十分かつ適正な議論がなされたか否かチェックの仕様もない。

秘密指定の不正を発見する端緒として、
各省庁が秘密指定をするたびに報告を受けることが必要であるし、
内部通報窓口も必要である。
しかし、いずれも与党議員が慎重なため制度化されていない。
したがって、常時監視することは難しい。

1回首相が
「情報監視審査会」に報告することになっている「特定秘密指定管理簿」
も項目のみの記載なので、
これだけでは、そもそも秘密指定にすべきものなのかどうかすら判断できない。

以上のような関門をくぐりぬけ、
仮に、「情報監視審査会」で秘密指定の正当性について審査する必要がある
との判断に到達し、
政府に対し、特定秘密の提出を求めたとしても、
政府が「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある」と判断すれば、
提出を拒むことができる。
そうなれば、結局、秘密指定の正当性について審査することは事実上不可能である。

そして、最後に、万々が一、「情報監視審査会」が政府の秘密指定を不当と判断し、
政府に対し、改善を求める勧告をしたとしても、強制力はない。

およそ、「情報監視審査会」に有効な監視機能など期待できないことは明らかである。

本年330日、ようやく衆参両院で「情報監視審査会」の初会合が開催されたが、
わずか10分で終了した。

「特定秘密保護法」は、われわれ国民の日常生活にどのような影響を及ぼすのだろうか。
引き続き、次回の私のコラムで。