当事務所の所属弁護士8名によるコラム(ブログ)です。

「一票の価値の不平等」に関する高裁判決

投票率が戦後最低をまたまた更新し、
「国民生活放り出し解散」
「政策そっちのけ解散」
などと言われた解散後の、昨年1214日に実施された
衆議院議員選挙の違憲・無効が争われた事件の高裁判決が相次いでいます。

今回の選挙では、一票の価値の較差が相変わらず最大で2倍を超える2.13倍に達し、
較差2倍を超える選挙区も295選挙区中13選挙区にのぼりました。
これらの結果を踏まえて、「(定数是正のための)合理的な期間は経過」し、
今回の選挙は「違憲・違法」だと断じた福岡高裁をはじめ、
全国の高裁で、違憲(状態)判断を示した判決が、相次いでいます。

上記の福岡高裁の判決では、選挙の違憲無効を訴えた原告の請求は棄却しました。
これは、いわゆる「事情判決」の法理といい、
選挙を無効にしてしまうことで生ずる混乱を避けるための、
はっきり言ってしまえば政治的な選択ですが、
これまでの同じような内容の判決よりも一歩進んで、「違憲」で、
なおかつこれまで格差是正の措置を不十分にしか行わなかった立法府の行為が「違法」だ
と判断し、さらには、「訴訟費用」を全額、被告の負担としたところに特徴があります。

訴訟費用の負担割合は、
分かりやすく言えば原告・被告双方の「勝ち具合・負け具合」のバロメーターである
とも言えますので、訴訟費用を「全額」被告の負担としたことは、
実質的には国側の、全面的な敗訴といってよいものと思われます。

そういう意味では、画期的な判決がなされたということになりますが、
いずれなされるであろう最高裁判決が楽しみです。